- 会長、会長代理の選出
会長に村山委員が、会長代理に浦上委員が選出されました。
議題1 審議会の運営について
事務局から、別添資料Tの1ページにより、にいがた食の安全・安心基本計画と審議会のこれまでの経過を説明し、今年度は計画の進捗状況の点検を主な目的として年1回の開催とする方針が委員から了承されました。
報告1 薬事法改正に伴う「にいがた食の安全・安心条例」の改正について
事務局から、別添資料Tの3〜4ページにより、薬事法改正に伴い9月県議会で「にいがた食の安全・安心条例」を改正(2箇所の文言修正)した旨を説明しました。
県民アンケートの結果について
事務局から、別添資料Wにより、平成25年度県民アンケート調査の結果を説明しました。
委員からの主な意見・質問は以下のとおり。
- 【城委員】
問6の「行政機関に対して気軽に相談できない」の理由として「相談窓口を知らない」という意見がかなり多いが、相談窓口の周知策は?
〈県の回答〉ホームページでの窓口一覧の掲載状況、窓口案内チラシ作成の方針等について説明。
- 【得丸委員】
「相談窓口を知らない」という意見が多いという結果を受け、教育面、特に家庭科教育の面での対策を一緒にやっていければと思った。
- 【片山委員】
問2「食品の安全性に不安を感じているか」という質問は、「国の基準に対して不安を持っているか」という質問とも考えられる。
問2−2で不安要素として、過半数を超えている上位5位(@輸入食品、A添加物、B農薬、C放射性物質、D表示・宣伝)はすべて作為的なものであり、「関係している人間が信用できるか。信用していない。」という答えである。
これに対して「行政は何をするのか」という話にならないといけない。
これは「安全」でなく「安心」の問題。
基本計画の施策を見ると、「安全」と「安心」を並べてごっちゃに使っているが、安全のための施策と安心のための施策をなぜ分けないのかと思う。
例えば「エコファーマー」を増やすという施策は、今作っている普通の米は「安全」なのだけど、より「安心」できるものにしようという「安心」のための施策であって、「安全」のための施策ではない。
- 【得丸委員】
「安全」と「安心」は、常に合体ではないか。安全だから安心するのであって、分けると混乱するように感じる。
- 【片山委員】
安全だから安心するわけではない。今日本に流通している食品で、安全でないものはない。国が決めた基準に則った食品が安全でないということになったら、国の施策自体が間違いになってしまう。
- 【得丸委員】
「信頼度」と言い換えられるのでは。
- 【浦上委員】
「安全」はサイエンス、「安心」は心理学であり「安全を担保した」と言った人間を「信頼」できるかどうかだ。
国が添加物や農薬の安全量をサイエンスで決めても、消費者は「それでも恐い」と言う。
保存剤を入れることによるわずかな危険性よりも、保存剤を使わないことによりO157のような菌が殺菌されない危険性のほうがはるかに大きいのに、多くの消費者は誤解している。
ソーセージに使われている亜硝酸は発がん性が少しあると言われており、それを心配して使わない業者が現れているが、ボツリヌス菌のことを考えると、亜硝酸不使用のソーセージのほうが私は恐くて買えない。
皆さんにきちんとした知識を持っていただければ安全と安心が分けられるが、かなりごっちゃになっている。こういう会議である程度払拭していければうれしい。
- 【柳田委員】
組合員は添加物に総じて反対。国の安全基準を信用したいのだけど、いろんな違反が報道になると、それが頭の中に残る方が多いようだ。
少数だが「国の基準を見直してほしい」という声もあり、そういう声が出る背景として、安全基準の決まり方(閾値や安全係数について)について、BSE発生の頃に比べると学習の機会が少なくなっている感じがする。
消費者は、自分の体より子どもの体を心配して添加物が少ないほうがいいと言うが、使用目的(ボツリヌス菌の危険の排除など)も伝えていきながら、添加物の使い方についてお互い学んでいかないといけないと感じた。
- 【村山会長】
不安要素の上位に挙がっているものは既に国の基準があるという中で、県として不安感を安心に変えていくことができるか。
〈県の回答〉安全基準の決まり方と県による事業者指導の実施状況を消費者に理解いただくための取組をきちんと行えば、消費者の安心感が出てくるのではないか。新潟県はPR下手と言われているが、いろいろな手段を使ってPRしていくことで消費者の信頼を得たい。
- 【村山会長】
添加物などの物質は多様で、全部説明することは無理なので、県民の関心があることで一つのモデルを作ってはどうか。安全と安心の関係が見えるような、あるいは基準と指導状況が見えるようなモデルを作るといいのでは。
- 【柳田委員】
輸入食品に不安を感じる人が多いが、なぜ不安を感じるか把握しているか?よく「日本の基準と外国の基準が違うから」と言う人がいるが、私たちが「輸入品には日本の基準が適用される」といくら説明してもなかなか理解が得られない状況。
〈県の回答〉自由意見を読む限り、明確な理由があまり書かれていない。中国の大気汚染を食品の安全性へと結びつけて不安だという意見があることから、不安につながるようないろいろなニュースの影響を受けているのでは。
議題2 にいがた食の安全・安心基本計画の進捗状況について
事務局から、別添資料Tの5〜15ページにより、基本計画の進捗状況を説明しました。(成果指標の状況・・・最新の25年度値は、24年度値に比べて県内外とも2ポイント程度減少)
なお、取組指標No.5「高度な鮮度・衛生管理施設導入荷捌き所数」の指標値の訂正について説明し、審議会から了承されました。
委員からの意見・質問は以下のとおり。
- 【橋委員】
「安全」と「安心」の問題について。
サイエンスとして間違いない安全基準と、それが法制度として担保されていることについて、県から情報発信に努めていただきたい。
JAグループの中の表現方法としては、一般的には「安全・安心」という表現しかないと思うので、県から上記の情報発信をもっと工夫してもらうということだと思う。
- 【浦上委員】
HACCPについて。
国が定める食品事業者の管理運営基準の指針が変わり、これまでの基準のほかにHACCPを用いる基準でも認められる形になったが、これに対する県の方針は?
また、HACCPが適切に実施されているかどうかのチェックは相当手間がかかるが、人材の育成はどういう予定になっているか?
〈県の回答〉今回の指針改正を当県の条例に盛り込むことが有効なのかどうか現在検討している段階。事業者にHACCPに関する助言指導ができるように保健所などの食品衛生監視員を対象にHACCPの研修を行っている。
- 【浦上委員】
HACCPは安全の「見える化」。
HACCPは世界的になってきており、食品を輸出しなければいけない中国や東南アジアは必死になってやっている。日本もTPPと東京オリンピックのおかげでやらざるを得なくなったのではないか。
新潟は食べ物がおいしいとよく言われ、食品の輸出県でもあるので、安全の「見える化」を進めていって、「うまいだけじゃない」というところをぜひやっていただきたい。
- 【得丸委員】
取組指標No.24の「農薬管理指導士」の活動内容は?
25年度は24年度から約1,500人減っていて、しかも28年度の目標値は24年度よりも低い4,300人に設定しているが、これはどういう視点からか?
アンケートでは農薬への不安は第3位と高いのに、矛盾している感じがする。
〈県の回答〉農薬管理指導士は、知事の認定を受け、農家やゴルフ場等の農薬使用者等に対する農薬の適正使用を指導している。
職場の必要で認定を受ける方が多く、25年度に認定返還の申出に関する周知を徹底したところ、退職・転職された方からの申出が非常に多くあり、かなりの数が減少したもの。農薬管理指導士制度は非常に重要と考えており、農薬を販売するホームセンターの従業員や無人防除ヘリのオペレーター等にも周知を図って指導士の確保に努めていきたい。
- 【上原委員】
この春から食品表示ウォッチャーとして活動しているが、取組指標No.16の調査店舗数について、4月の説明会で説明があったのかもしれないが、案外と簡単にこの目標は達成できるのではないかと感じた。
〈県の回答〉25年度は100名委嘱し、1人月1回、計12回報告いただくことを年度当初お願いしたが、途中で辞退された方や報告をいただけない方がいたため、件数が若干減った。26年度は年度途中の補充等を徹底するとともに、10名増員して110名体制で取り組んでいる。
- 【村山会長】
「にいがた食の安全・安心基本計画」を周知していくことが重要であり、研修会・説明会において、この計画の概要版を配布するなどして、県の各課一丸となって計画を推進していただきたい。
- 【川井委員】
施策1「安全で安心な農作物等の提供の推進」について。
例えば米に対する消費者の価値観は、昔は「量」、それから「品質」、今度は「安全性」というふうに時代とともに変化してきた。
農薬や化学肥料を低減し、環境にも配慮した農産物の生産を目指すという目標が立てられており、消費者はそうやって生産された農産物のほうがより安全なものと思ってしまう。値段も高いので。
一方で、農家の方から、今までどおりに農薬・化学肥料を使っていても「新潟県の米は絶対に安全」と言われた。
実際はどうなのか?
- 【浦上委員】
あるレベル以下まで残留農薬等を抑えてしまえば、多少残っていても人体に影響ないというのが世界的な合意。それでも危ないと言う人がいるが、そういう人たちはデータを持っていない。
より減らせばより安全と言うのは、常識に反する。
「安全」と「安心」を分けないと、消費者が誤解して無農薬に突っ走るほうが私は恐い。無農薬にこだわりすぎると決していいことばかりではない。農薬は、多く残留することによる危険性と、使わないことによる生産力の低下とのバランスの議論をしっかりしないといけない。「少なければいい」という考え方はちょっとずれている。
〈県の回答〉特別栽培やエコファーマーの取組は環境保全という側面も担っており、それに取り組むことによって県全体のクリーンなイメージに寄与するのではないか。また、販売力向上の側面はたしかにある。
県では農薬や化学肥料を低減するための技術開発を進めているが、一方的に低減するということではなく、農薬を使用すべきなのか使用しなくてもいいのかの見極めをより良くするための研究をしている。
- 【得丸委員】
「フードファディズム」の問題があるように、消費者があまり科学信仰、数字信仰に陥らないように、科学者、研究者からきちんと情報発信、指導していただけるようお願いしたい。
- 【片山委員】
農薬と環境問題について。
行政は、農薬を使うと環境を壊すということを前提に「環境にいいから減農薬にしなさい」と言っているが、それは一方で農薬を使って作っている農家に対し「あなたたちは環境破壊している」と言っていることになり、農家に対して失礼だ。それなら初めから環境のために農薬を使わないように基準を決めて、環境を守れと言えばいい。
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